西尾維新 『新本格少女りすか3』

新本格魔法少女りすか3
 夏休み、創貴はりすかに加えて城門管理委員会のツナギをいう強力な味方を得て、福岡で「六人の魔法使い」の二人目があっさりと倒されるのを見物します。ホテルに戻って休養を取る3人ですが、りすかとツナギが留守をした隙に、「6人の魔法使い」の最後の一人である水倉鍵が創貴に接触を図ってきます。そして水倉鍵とのゲームに勝ったかに思えた創貴ですが、相手の仕掛けた罠によって苦しい戦いに追い込まれ…。

 第七話から第九話までの三話収録ですが、それぞれが時間的に連続しており、本書は非常に短い時間の中での話ということになります。
 また、シリーズの最初の頃に見られたように、敢えて表題に「新本格」と付けることで、「ミステリ」というジャンルに対して斜に構えた遊び的なものは、本作ではだいぶ弱まっています。そしてその中でミステリ的な要素は、一つの方向に収束して行く物語の中でのゲーム的なアクセントとして用いられています。
 本書で登場する水倉鍵という人物は、明らかに創貴と対になる敵役的なポジションであり、その名の通り今後の展開においてもキーマンになりますが、そこは単純な二元論で話を進めない著者だけに、次の最終巻での決着をどのように付けるかは見どころとなるでしょう。