リンダ・O・ジョンストン 『愛犬をつれた名探偵』

愛犬をつれた名探偵 ペット探偵 1
 ケンドラは弁護士としてのキャリアを積み上げてきましたが、何者かに陥れられて現在は弁護士も停職中。彼女を心配したペットのデイケアセンターを経営しているダリルは、臨時の職としてケンドラにペットシッターの仕事を世話します。愛犬のレキシーとともにこの新しい仕事を順調にこなし始めたと思った時、ケンドラのかつての依頼人の一人で、ペットシッターの仕事も頼んできた人物が殺害されてしまいます。第一発見者として警察に疑われるケンドラは、私立探偵のジェフに支えられながら、自ら調査を開始します。

 犬だけではなく、猫やうさぎ、果ては個性豊かな蛇までもが登場し、テンポ良く物語りは展開します。ケンドラの陥っている状況は非常に深刻ですが、ペットをそこに投入することで、軽妙な作風に仕上げているのが大きな成功点でしょう。
 また、ペットを含めて個性的な脇役も多く、結末で明かされる犯人も意外性という面ではさほどではありませんが、動機や犯行に説得力もあります。真相に至る伏線という面では、もう少し丁寧であればとも思いますが、軽く読めて読後感も良い1冊でした。