スウェーデンのゴシックメタル・バンドで、男女のツインVo.スタイルは取っていますが、あくまでも女性Vo.は男性のデス・パートを引き立てるための存在。どこまでも鬱々としたゴシック/ドゥームの重厚さを極めたアルバム。僅かなパートではあるものの、男性Vo.はクリーン・ヴォイスも効果的に聴かせてくれます。
１trackがしょっぱなから９分と長く、最後の"death, come near me"に至っては15分と、相当に長い楽曲の多いアルバムですが、とにかく全く長さを感じさせない完成度。むしろ出来ることなら、ずっとこの鬱世界に浸っていたいと思わされます。
特にこの"death, come near me"の完成度は際立っていて、暗黒の地の底を這うような男性デスボイスと、天から弱々しく降る光のような女性ヴォーカルが絡み合う中、ドゥーム調のリフが絶望美を伴って響きます。この男女ツイン・ボーカルという構成が、見事に「美と醜」、「絶望と救済」などの対比をなしています。
女性Vo.で表現される「救い」があるからこそ、尚更に絶望が際立つ楽曲が、不思議な心地良さを感じさせるアルバム。
