Amaranthe "Massive Addictive"(2014)

マッシヴ・アディクティヴ~デラックス・エディション(初回限定盤)(DVD付)
スウェーデンイェーテボリのメタル・バンド、アマランスの3枚目のアルバム。
前作が出てから1年半と、この種のバンドとしては割とハイペースでのリリース。
ですがその間、トリプル・ヴォーカルのデス・パートを担当していたアンドレアス・ソルヴェストロームが脱退し、後任に元SCARARPOINTのヘンドリック・エングルンドが招かれるという変化があった模様です。
個人的な好みから言えば、デス・パートはもっと暴虐的でも良いようにも思いますが、アンドレアスからヘンドリックへの交代による違和感はあまりなく、これまで作り上げてきた「アマランス」の世界観は同一線上にあると言えるでしょう。
男女Vo.にデス男性Vo.が絡むトリプル・ヴォーカル・スタイルと言い、シンセを取り入れたキャッチ―でモダンな楽曲など、アマランスの持ち味にはそのまま大きな変化はなく、本アルバムも、あくまでもバンドの方向性にブレはないのだと誇示するようなアルバムでもあるのかもしれません。
ただ、前作まで、デビュー作「アマランス」から2nd「ネクサス」は、ひたすらアマランスの音楽性を突き詰めて走り続けていた感があるのですが、本作ではメンバーの変遷があった影響もあるのか、やや速度を緩めて自身の立ち位置を確認するかのような印象も受けます。
その意味では、それぞれの曲にしろアルバムそのものにしろ、出来は決して悪くはないものの、前作までの新しい曲がリリースされるたびに受けた、強烈なインパクトという面では、微妙に弱くなってしまったようにも思います。
楽曲も、これまでの2枚のアルバムよりも、ミドル〜スローテンポの曲の比率が増えており、それをじっくり聴かせるだけのテクニックはさすがですが、全体的にやや大人しめとも言える感じはします。
ですが、各Vo.パートにしてもギター・ソロのパートにしても、「それぞれが聴かせる」パートが本作においては増えていることもあり、このバンドの持つポテンシャルの高さにはまだまだ期待させられるところでしょう。
この"Massive Addictive"以降、アマランスがどのようなものを作り上げていってくれるのか、これから真価を問われるところなのかもしれません。