J・D・ロブ 『偽りの顔たち イヴ&ローク35』 ヴィレッジブックス

偽りの顔たち イヴ&ローク35 (ヴィレッジブックス)
 1年前のセンセーショナルな事件を題材にした映画が製作されることになり、実際にその事件を解決へと導いたNY市警のイヴ・ダラス警部補は、パートナーのピーボディや夫のロークとともに関係者のパーティに招かれます。その席で、周囲の人間の悩みの種であり、トラブルメーカーであった女性が死体となって発見され……。

 演技をするプロたち相手に、その嘘を暴き、一つ一つの証拠を積み上げて犯人へと辿り着き、一気に相手を追い詰めて行く過程が丁寧に描かれた一作。
 主人公たち自身が、彼らの「役」を演技する役者と映画製作関係者を容疑者として捜査をするという、ある意味複雑な状況で物語は展開していきますが、軽妙な会話とリーダビリティの高さで、そこそこのボリュームを読まされてしまったという印象。
 最終的に犯人を追いつめる過程で、意外な事実が次々と出てくる下りは若干やり過ぎ感もありますが、そこで描かれることになる犯人のプロファイリングもまた、このシリーズらしさであり、作品のアクセントになっているのも事実でしょう。