とみなが貴和 『EDGE』

EDGE
 "黄昏の爆弾魔"によって、東京タワー、レインボーブリッジなどの、東京を象徴するような高層建造物が次々と爆破される事件が起こります。捜査に行き詰まった警察が切り札として引きずり出したのは、三年前の事件以来田舎に引き篭もっていたプロファイラー、大滝練摩でした。介護している母親の吐き出し続ける毒と、会社で無能を罵られることで鬱屈した犯人"黄昏の爆弾魔"は、東京にどのような光景を見たのか。練摩と、三年前の事件で致命的な傷を負い、リハビリで回復したとはいえ知能が5歳児並に退行した練摩の親友の藤崎、そして犯人。三者の導く事件の行き着く先とは。

 もともとが講談社ホワイトハートのレーベルから出ていたもので、ひと言で言えば、いわゆる心理捜査官ものの和製ライトノベルバージョン。
 知能が退行したかつての親友藤崎の超能力設定など、一歩間違えばライトノベルとしてもキワモノになりそうな設定ですが、ポイントポイントで上手く使うに留めていることでエンターテインメントとしては効果的に生かしています。
 純粋に心理捜査官物として読むとすれば、些か物足りない部分もありますが、淡々とした筆致で描かれる夕暮れ時の東京の景色と犯人の心情の描き方は印象的なものになっていると言えるでしょう。
 どうやら5部作で、最後にシリーズ通して張った伏線が回収されるらしいです。