小川洋子 『薬指の標本』

薬指の標本 (新潮文庫)
私にとっては、昨年の本屋大賞受賞作『博士の愛した数式』に続いて2つ目の小川洋子です。今日買ってあっという間に読了。
あちらとはまた違ってはいるのですが、作品世界に流れる心地良い空気がやはり魅力ですね。
日常の裂け目にふと覗いた、畸形の世界のようなものが、どこかグロテスクかつ美しく描かれています。
表題作の「標本室」にしても、もう一編収録されている作品における「語り小部屋」にしても、不思議でどこか怖いけれども心地良い場所で、恐る恐るでも訪れてみたい、そんなふうに思わされます。