2011-01-01から1年間の記事一覧

 上橋菜穂子 『天と地の守り人』

ロタ王国編、カンバル王国編、新ヨゴ皇国編の3部構成で描かれる、守り人シリーズ完結編。 強大な力を持ち大陸に侵攻を進めるタルシュ帝国に対し、近隣の国との同盟の必要を訴える新ヨゴ皇国の皇太子チャグムですが、皇帝やその周囲はあくまでも自国には絶対…

 神林長平 『戦闘妖精・雪風(改)』

自ら思考し、進化して次第に人間を必要としなくなる機械と「人間性」という、SFでは決して新しくないテーマを用いつつ、世に出てから20年近く経ってもいまだに古臭くない作品

 三津田信三 『生霊の如き重るもの』

刀城言耶シリーズの短編集。 大学生時代の刀城言耶が行き会う、様々な不可能状況で構成された事件と怪奇の物語。 怪談めいた事件の論理的な解明は非常に鮮やかで、各編とも奇想に溢れています。中にはやや、最後に残す謎が付け足しめいているように思えるも…

2011年読了冊数:35 積読:?

丸々1ヶ月以上空いてしまいましたので、その間に読んだ本やら買ったCDやら、忘れないうちに覚書だけでも。 空白の6月に何があった?と言われればまぁ、大したことはないんですが、足首の関節の内側の骨折の疑いやら別件でまた反対の足に怪我するやらで、…

Draconian "A Rose For the Apocalypse"(2011)

スウェーデンのゴシック/ドゥーム・メタルバンドDraconian の5thアルバム"A Rose For the Apocalypse"。 圧倒的なまでにダウナー系の世界に引きずり込まれるようなパワーや絶望感だとか、陰鬱さに関しては、別プロジェクトとしてDooms vsを立ち上げたことで…

Arch Enemy"KHAOS LEGIONS"(2011)

Arch Enemy の8thアルバム"KHAOS LEGIONS"。 相変わらずVo.アンジェラの評価は分かれるところみたいですが、各曲の中で緩急の付け方の多彩さに満ちた楽曲の展開の良さ、今更言及するまでもない、アモット兄弟のテクニカルな演奏のクオリティの高さが結実した…

Destroy Rebuild Until God Shows"D.R.U.G.S."(2011)

Destroy Rebuild Until God Showsのグループ名のイニシャルから付けたセルフタイトル・アルバム "D.R.U.G.S." ジャンル的にはポストハードコア/スクリーモのようですが、パンクやメタルコアっぽさあり、どこか狂気を感じさせるような病んでいる感じすらする…

アリスン・ブレナン『切り刻まれた暗闇 上/下』

狡猾で異常な執念を持つ犯人の存在感がとにかく強烈。怪物といって良いほどの邪悪さを備えた犯人との駆け引きを楽しむサスペンスとして楽しめました。 裁判が既に終わった殺人事件の意外な真相や、そこに絡む人間の裏側という部分は面白いだけに、もっと序盤…

アリスン・ブレナン『瞳...閉ざされて上/下』

やや人物の配置の要因で、ミスリーディングが形成されきっていない部分はありますが、過去の事件やネットコミュニティの存在が浮かび上がる過程は楽しめました。

伊園旬『ブレイクスルー・トライアル』

ITの要塞への侵入というゲーム性の魅力、主役を張れるだけの登場人物揃いと、書き方次第ではとてつもなく面白くなる要素を兼ね備えた一作。 勿論これで十分に面白い1作ではありますが、ただ、どうも綺麗にまとまりすぎているのか、あるいは展開の魅せ方の面…

三上延『ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち』

ラノベと侮れないのがこのレーベル。古書を通じて、その本の持ち主の秘めたものが解き明かされる日常の謎系の良作です。メインの事件の展開にはやや強引な処理もありますが、続編があれば是非読んでみたい1作。

海堂尊『ナニワ・モンスター』

下町の開業医の視点で進む新型インフルエンザのパンデミックと、その裏にある陰謀の物語だけで十分にひとつの物語として成立しています。 後半は、著者自身がある種、大ホラ吹きのスカラムーシュとなって展開するユートピア論が主軸となっているため、ややブ…

2011年読了冊数:28 積読:8

暫くこっちに記録しないで貯めていたら、その間何を買ったのか良く分からなくなりましたので、再カウント。 積読本は以下の8冊アリスン・ブレナン 『切り刻まれた暗闇 上/下』 ゴマ文庫 ジル・チャーチル 『眺めのいいヘマ』 創元推理文庫 伊園旬 『ブレイ…

 京極夏彦 『豆腐小僧その他』

妖怪好きの少年のお陰で、豆腐小僧がひょっこり現代に姿を現す「小説・豆腐小僧」に、京極夏彦作の妖怪狂言と落語等が収録された1冊。豆腐小僧というキャラクターがまさに狂言の世界と様式にぴったりで、是非舞台で見てみたいと思わされます。

 北山猛邦 『私たちが星座を盗んだ理由』

憧れの先輩に近付くために、ある偶然から恋の「おまじない」に夢中になり始めた少女を描く「恋煩い」。外界から隔絶された島で「妖精」になるために生活する子どもたちの中で、新入りのヒバリが見た現実を描く「妖精の学校」。借金の支払いに追い詰められた…

 綾辻行人 『深泥丘奇談・続』

深泥丘に妻と住み、原因不明の頭痛で深泥丘病院に定期的に通院する職業作家の「私」。この土地で生まれ育ったはずなのに、妻や周りの人が当然のように知っている風習を知らなかったりする主人公が遭遇する、様々な奇妙なものごとが描かれる連作短編集の第二…

 有川浩 『県庁おもてなし課』

高知県庁の中に発足した「おもてなし課」。何をすれば良いのか、まずは高知県出身の著名人に「観光特使」として名刺を配ってもらう……という施策をはじめたところ、作家の吉門から名刺がいつまでも届かないことで「民間との時間感覚の差」を指摘されてしまい…

2011年読了冊数:24 積読:4

どうも最近感想を書くのを溜めてしまう傾向があるようで…。 他にも読んだ本・買った本幾つかありますが、そちらも徐々に消化して行こうと思います。 CDに関しては、来月出るLeave's eyesの新譜は迷い中ですが、6月に出るDraconianの新譜は予約しておこう…

 "Unforgiving" Within Temptation

バンド初となるコンセプトアルバム。特典のDVDが付いた初回限定盤を購入。 すでにメタル色はほとんどなく、ジャンル的にはおそらくは「シンフォニック・ロック」という方がしっくりくる感じはするものの、コンセプトの核となる物語世界がしっかりと確立され…

 京極夏彦 『オジいサン』

ある日「オジいサン」と、独特のイントネーションで呼ばれたことが気になって仕方がない。地デジ移行でテレビが見れなくなると電気屋は言いますが、それが理解できない。そんな72歳の独居老人益子徳一の日常を綴った連作短編集。 どうでも良いようなことが気…

 三津田信三 『七人の鬼ごっこ』

一週間、毎日かつての友人たちに電話をかけ続け、相手が出なかったら自殺する――けれども七人も友達がいなくて、いのちの電話にかけてきたのだという男の電話を、オペレーターの中年女性は取ることになります。この電話をきっかけに、子どもの頃に瓢箪山で遊…

2011年読了冊数:22 積読:6

その後我が家の地域は計画停電に組み込まれていないものの、節電にはそれなりに取り組んでいます。情報が飛び交うたびに振り回されている感もありますが、本当に必要なこととその情報の真偽をしっかり見極めて、不必要に惑わされないようにしたいものです。…

綾辻行人 『深泥丘奇談・続』 メディアファクトリー 京極夏彦 『オジいサン』 中央公論社 三津田信三 『七人の鬼ごっこ』 光文社

 ナンシー・アサートン 『ディミティおばさま幽霊屋敷に行く 優しい幽霊5』

ディミティおばさまの遺してくれた屋敷で、夫と双子の息子に囲まれて穏やかに暮らしていたロリですが、かつての上司からの電話で、資産家が姪の結婚祝いに与えた屋敷にある膨大な蔵書の鑑定に赴くことになります。ですが、ロリの運転する車は道を外れて事故…

 加賀美雅之 『縛り首の塔の館 シャルル・ベルトランの事件簿』

霊能者だという男が、衆人環視の中で離れた場所にいた彼を詐欺師呼ばわりした男を殺し、またその霊能者自身も、相手の持っていた銃の弾で殺されていたという事件(『縛り首の塔の館』)。巷を騒がせている「人狼」と称される連続殺人犯に狙われていた夫人が…

2011年読了冊数:20 積読:5

今回の地震、私も生まれて初めての揺れを体験することになりましたが、幸いにして人間・家屋・猫・メダカ・エビともに無事です。 実際に被災していない地域にあっても、明日からは計画停電も始まりますし、日本経済の受けるダメージは計り知れません。多くの…

 2冊

ナンシー・アサートン 『ディミティおばさま幽霊屋敷に行く 優しい幽霊5』 RHブックス・プラス ジル・チャーチル 『眺めのいいヘマ』 創元推理文庫

 湊かなえ 『花の鎖』

職を失った上に祖母が入院し、家に毎年届く花束の差出人「K」に対して、以前母親が亡くなった際に断った経済的な援助を頼むことを決意する梨花。好意を持っていた男性とお見合いで結婚することが出来たものの、二人の見合いをお膳立てした叔父夫婦のもとに…

2011年読了冊数:19 積読:4

 3冊

加賀美雅之 『 縛り首の塔の館 シャルル・ベルトランの事件簿』 講談社ノベルズ 北山猛邦 『私たちが星座を盗んだ理由』 講談社ノベルズ 湊かなえ 『華の鎖』 文藝春秋